赤松林太郎先生のリサイタル

先週の木曜日、赤松林太郎先生のリサイタルが銀座王子ホールでありました。平日の夜、銀座に繰り出すのはあまりないことで、地下鉄の駅から外に出ると、その華やいだ街並みにわくわくしました。

この日のプログラムのテーマは、「愛の主題」。ピアノ演奏会ではあまり演奏されることのないブラームスの六重奏曲第1番第2楽章「恋人たち」のピアノソロやマーラーの交響曲よりアダージェット、同じくマーラーの少年の不思議な角笛より「美しいラッパが鳴りひびくところ」(赤松林太郎編曲)を演奏なさいました。ご幼少のころからオーケストラ曲を聴いて育ち、チェロも弾かれていた赤松先生ならではのチョイスだと思います。それと、シューマンのソナタ第1番とベートーヴェンピアノソナタ第31番。クララシューマンを取り囲む男性たちの音楽が取り上げられました。赤松先生の作り出すピアノの響きはソフトペダルが絶妙にブレンドされ、無数の音色が聴こえてきます。それはまるでオーケストラのよう。アンコール曲はスカルラッティのソナタとファリャの火祭りの踊り。

最後に挨拶されて、「今日1月17日は、阪神淡路大震災の日で朝からテンションがおかしかったんですけど。」と話されていました。先生も被災されて大変な思いをされたそうです。そんな思いの中でなさったリサイタル、音楽に落ち着いてに向き合える日常に感謝し、心に深く残る音楽会となりました。